Nature ハイライト 物理:保存量になるスピン螺旋 2009年4月2日 Nature 458, 7238 真空中を移動している物体が運動し続けるようになるのと同じく、スピン回転する電子の軸は一定の方向を向いたままになる。いずれの現象も突き詰めれば、何もない空間の一様性から導かれる保存則の表れである。対照的に、半導体中を移動している電子は、光速のほぼ1%で飛び去っていく帯電原子の格子を見ていることになるため、そのスピンの向きに大きなゆらぎが生じる。Koralekたちは、半導体に外部電場をかけて、帯電した格子によるスピン不安定化効果と正確に釣り合わせうることを実証した。この場合、個々の電子のスピンではなく、電子ガス全体の集団スピンが新しい保存量となって出現する。これは、「スピントロニクス」の応用に極めて適した特性といえる。 2009年4月2日号の Nature ハイライト 宇宙:速やかに成長した大質量銀河 宇宙:暗黒物質の手がかり 物理:保存量になるスピン螺旋 地球:マントルプリュームの一生 生態:種が均衡しているほうが安全 視覚:見れば覚える 免疫:多様な抗体がHIVを攻撃する 医学:HIVは動く標的 細胞:ウイルスのプロキャプシドの構造 目次へ戻る