Nature ハイライト 視覚:見れば覚える 2009年4月2日 Nature 458, 7238 私たちは視覚作業記憶内にいくつかの異なる対象を保持できるが、どのようにして個々の対象の特定の細部や視覚的特徴を覚えておけるのかはよくわかっていない。作業記憶にかかわる高次脳領域のニューロンは、視対象の細部への選択性を示さないようである。一方、大脳皮質の初期視覚領域は眼から入ってくる視覚信号を独自に処理できるが、記憶のような高次の認知機能を担うことはできないと考えられてきた。S HarrisonとF Tongは、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)のデータを解読する新しい手法を用いて、作業記憶で保持される視対象の特徴についての特異的情報を、初期視覚領域が保持できることを見いだした。被験者に、傾きの異なる2種類の縞模様を見せ、fMRIで脳を走査している最中に一方の縞模様の傾きを覚えてもらった。視覚野の走査像を解析することで、テストの80%以上で被験者の覚えていた縞の傾きがどちらだったかを予測できた。 2009年4月2日号の Nature ハイライト 宇宙:速やかに成長した大質量銀河 宇宙:暗黒物質の手がかり 物理:保存量になるスピン螺旋 地球:マントルプリュームの一生 生態:種が均衡しているほうが安全 視覚:見れば覚える 免疫:多様な抗体がHIVを攻撃する 医学:HIVは動く標的 細胞:ウイルスのプロキャプシドの構造 目次へ戻る