Nature ハイライト 細胞:幹細胞に道を示す 2009年5月7日 Nature 459, 7243 Gαsシグナル伝達経路はこれまで、幹細胞の生物学的性質にかかわる役割が知られていなかったが、今回、造血に重要であることがわかった。この伝達経路がないと、発生中の胎仔造血で細胞が胎仔肝から骨髄に移行せず、成体マウスでは細胞が骨髄に生着しないのである。Gαs(グアニンヌクレオチド結合タンパク質刺激性αサブユニット)を欠損する造血幹・前駆細胞は、分化して走化性をもつようになるが、普通機能する部位へホーミングできない。構成的にGαsを活性化することが知られているコレラ毒素は、マウスで幹細胞のホーミングと生着を高めるので、これと同じような方法によりヒトの造血幹細胞移植の効率を改善できる可能性がある。現在、臨床での移植では大量の造血幹細胞が使用されるが、その一因はホーミングや生着の効率が低いことにある。 2009年5月7日号の Nature ハイライト 宇宙:宇宙時計の針を巻き戻す 工学:ナノ材料の小さな箱 材料:力に応答するポリマー 地球:風変わりな火山 神経:クロマチン修飾と記憶のつながり 神経:ニューロンの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 細胞:幹細胞に道を示す 細胞:マップ上の遺伝子エンハンサー 細胞:第三の伸長因子 目次へ戻る