Nature ハイライト

生理:がん細胞を生むニッチ

Nature 464, 7290

腫瘍形成には、個々の細胞で一連の遺伝的およびエピジェネティックな事象が起こることが必要かもしれないが、完全な悪性化のためには、それを許容する微小環境、すなわちニッチが要求されると考えられてきた。今回、血球の微小環境に生じた遺伝的変化が造血器悪性腫瘍を引き起こす新たなマウスモデルで、この見解が裏付けられた。こうした微小環境の一部である骨前駆細胞でマイクロRNAのプロセシングにかかわるDicer1遺伝子が欠失すると、骨髄異形成症候群に似た表現型がみられるようになり、これは白血病へ進行する可能性がある。この前駆細胞では、白血病の素因となる骨髄機能不全であるシュバッハマン・ボーディアン・ダイヤモンド症候群で変異がみられるSbds遺伝子の発現量が低下している。

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