Nature ハイライト 生理:がん細胞を生むニッチ 2010年4月8日 Nature 464, 7290 腫瘍形成には、個々の細胞で一連の遺伝的およびエピジェネティックな事象が起こることが必要かもしれないが、完全な悪性化のためには、それを許容する微小環境、すなわちニッチが要求されると考えられてきた。今回、血球の微小環境に生じた遺伝的変化が造血器悪性腫瘍を引き起こす新たなマウスモデルで、この見解が裏付けられた。こうした微小環境の一部である骨前駆細胞でマイクロRNAのプロセシングにかかわるDicer1遺伝子が欠失すると、骨髄異形成症候群に似た表現型がみられるようになり、これは白血病へ進行する可能性がある。この前駆細胞では、白血病の素因となる骨髄機能不全であるシュバッハマン・ボーディアン・ダイヤモンド症候群で変異がみられるSbds遺伝子の発現量が低下している。 2010年4月8日号の Nature ハイライト 物理:量子スピン液体の現れる条件 生理:がん細胞を生むニッチ 細胞:ゲノムの安定性 宇宙:遠方の星食を垣間見る 物理:メムリスターによる論理演算 気候:放牧はN2Oの放出を減少させる 考古:3種の人類が共存していた 遺伝:イヌの古い品種、新しい品種 進化:寿司因子 目次へ戻る