Nature ハイライト

気候:放牧はN2Oの放出を減少させる

Nature 464, 7290

温室効果ガスである亜酸化窒素の濃度は産業革命以前の時代から増加してきており、その主な原因は農業活動である。農業活動の変化の中で、家畜の放牧は温帯の草原からの亜酸化窒素の放出をかなり増加させると報告されてきた。中国の内モンゴルのステップ草原にある10か所の観測サイトでの通年観測から得られた新しいデータによって、これまで見落とされてきた相互作用が明らかになり、この見解に疑問が生じている。自動チャンバー方式を用いた測定によって、春季の雪解け時の一時的急増が亜酸化窒素の放出の大部分を占めており、この放出は放牧が行われていないステップ草原で最も多く、放牧強度が高くなると減少することが示された。したがって、放牧は意外にも、土壌水の収支と微生物の活動を変えることによって、亜酸化窒素の放出を、増加させるのではなく、減少させているのである。

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