Nature ハイライト 神経:神経回路の光スイッチ 2010年1月7日 Nature 463, 7277 微生物のオプシンは光感受性のイオンチャネルだが、これが実験に使えるようになり、神経科学研究は飛躍的に進歩した。遺伝子ターゲッティングによりオプシンを導入したニューロンでは、その活動を外部から光を当てることで制御できるようになったのである。今回E Boydenたちは、新しい性質をもったオプシンを探して古細菌、細菌、植物、菌類のスクリーニングを行い、神経活動を調節するための全く新しい機序、つまり光駆動性のプロトン汲み出しという方法を見つけ出した。プロトンは、本来は神経系で電荷担体として使われることはないが、高度好塩古細菌のHalorubrum sodomense由来のアーキロドプシン3による光駆動性プロトン汲み出しは、光に反応して起こる強力な神経活動停止をもたらした。また、子嚢菌類に属するLeptosphaeria maculans由来のプロトンポンプを使えば、青色光によって神経活動を停止させることができる。これらのオプシンを使えば、行動中や疾病時の神経回路の役割の研究で、光による神経回路の遮断という方法が容易に行えるようになるだろう。 2010年1月7日号の Nature ハイライト 臨床心理:恐怖の記憶を封印するには 宇宙:やはり典型的だった超新星 物理:量子粒子のジグザグ運動 物理:エキゾチックな目標に近づく 工学:摩擦の詳細 気候:あの二酸化炭素はどこに行った? ウイルス学:ゲノムに残ったウイルスの「化石」 神経:神経回路の光スイッチ 目次へ戻る