Nature ハイライト ウイルス学:ゲノムに残ったウイルスの「化石」 2010年1月7日 Nature 463, 7277 内在性レトロウイルス由来のDNAは、哺乳類ゲノム中に広くみられる祖先由来の特徴である。これまで、ウイルスの仲間でこの種の「化石記録」を残すことが知られているのは、レトロウイルスだけだった。今回、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類、およびジリスの一種のゲノムで、内在性ボルナ様N(EBLN)エレメントとよばれる塩基配列が見つかった。ボルナウイルスは非分節マイナス鎖RNAウイルスで、感染細胞の核内で複製する。霊長類では、このエレメントの起源は4,000万年以上前と非常に古いが、ジリスのEBLN配列は、もっと最近になって組み込まれたものである。霊長類のEBLNはオープンリーディングフレームが保存されており、mRNAとして発現していることから、宿主の遺伝的新奇性の供給源として機能している可能性が考えられる。 2010年1月7日号の Nature ハイライト 臨床心理:恐怖の記憶を封印するには 宇宙:やはり典型的だった超新星 物理:量子粒子のジグザグ運動 物理:エキゾチックな目標に近づく 工学:摩擦の詳細 気候:あの二酸化炭素はどこに行った? ウイルス学:ゲノムに残ったウイルスの「化石」 神経:神経回路の光スイッチ 目次へ戻る