Nature ハイライト

進化:「自殖」の進化

Nature 464, 7293

植物の自家受粉は近交弱勢を引き起こし、「自殖」による適応度の低い子孫が生じる場合がある。しかし、ダーウィンが予測したように、花粉媒介者や配偶相手が少ない場合には、自殖のほうが有利なのかもしれない。自殖を防止する主要な仕組みは自家不和合性認識システムで、これは雄側(花粉)と雌側(雌ずい)の特異性遺伝子、つまり、自家不和合性にかかわる遺伝子と変更遺伝子から構成されている。花粉の遺伝子の変異は、花粉および種子の双方を介して広がるため、雌ずいの遺伝子の変異よりも優勢になると予測される。こうした予測が、主として自殖を行う植物種シロイヌナズナの、ヨーロッパ中から集められたDNA塩基配列の比較により確認された。DNA塩基配列の95%では、花粉側自家不和合性遺伝子(SCR)またはその派生遺伝子に、213塩基対の破壊的な逆位が認められた。この配列の変化を元の向きに戻すと、自家不和合性が回復した。

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