Nature ハイライト 遺伝:遺伝子のヒッチハイク 2010年4月29日 Nature 464, 7293 交雑しない生物種間での遺伝物質の水平伝播(horizontal transfer;HT)は、細菌では広くみられるが、真核生物の進化においても重要な推進力になっていることが、次第にわかってきている。後生動物でこれまで報告されているHTのほとんどの例は、転位性遺伝因子(主としてトランスポゾン)がかかわっているが、大きく異なる生物種の間での遺伝物質の交換が可能となる仕組みについては解明されていない。Gilbertたちは、異種生物間での転位性遺伝因子の広がりが、それらの生物に共通する寄生生物のゲノムへの便乗によって起こることを明らかにした。特に、四肢動物の血を吸う昆虫で、ヒトのシャーガス病を媒介するベネズエラサシガメ(Rhodnius prolixus)のゲノムには4種類のトランスポゾンファミリーが存在し、これらはオポッサム(フクロネズミ)やリスザルをはじめとする、いくつかの四肢動物のゲノムに侵入する可能性がある。これらのトランスポゾンファミリーの1つは、多くの脊椎動物に感染する吸虫類の媒介動物であるヨーロッパモノアラガイLymnaea stagnalisのゲノムにも存在する。 2010年4月29日号の Nature ハイライト 医学:糖尿病を理解する 生理:アディポネクチンと肥満 宇宙:小惑星24番テミスの氷 化学:水から水素を作る 気候:気候フィードバック 進化:恐竜の多様な羽毛 進化:「自殖」の進化 遺伝:遺伝子のヒッチハイク 細胞:見つかったコレステロール結晶 脳:統合失調症とニューレグリンの関連性 目次へ戻る