Nature ハイライト

Cover Story:多発性硬化症のゲノム:1人が多発性硬化症を発症し、もう1人は発症していない双生児のゲノム完全塩基配列の解読

Nature 464, 7293

「一卵性」双生児は、ヒトの疾患への遺伝のかかわりや環境の影響を研究する際に広く用いられている。双子のうちの1人が多発性硬化症を発症し、もう1人は発症していない3組の一卵性双生児について今回行われた研究は、最新のゲノムシーケンシングと解析の技術をこの分野に導入したもので、また双子で多発性硬化症患者の女性のゲノム塩基配列を初めて公表している。双生児の1組については全塩基配列が解読され、この組を含む3組について、CD4+リンパ球のmRNAトランスクリプトームおよびエピゲノム配列が決定された。意外にも、双生児の一方が発症し、他方が発症しないことの説明となる遺伝的、エピゲノム的違い、あるいはトランスクリプトームの差異は見いだされなかった。このデータを詳しく検討したeQTL(発現量的形質遺伝子座)マッピングからは、双生児間の興味深い違いが明らかになり、これはさらに詳細な解析を行うのに値する。また、多発性硬化症の発症について考えられる原因のいくつかは除外することができた。今後は、ほかの細胞型やエピジェネティックな修飾の研究が集中的に行われるだろう(Letter p.1351, News p.1259, www.nature.com/podcast)。

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