Nature ハイライト 遺伝:道の分かれ目 2007年10月11日 Nature 449, 7163 遺伝子重複は、新しい遺伝子や機能が生じる原因になると長い間考えられてきた。しかし、重複してできた遺伝子の大半は、新しい機能をもっておらず、もとの祖先遺伝子が担っていた複数の機能を分担して受けもつようになるだけである。今回、このような分業化の一例の詳しい分析が行われた。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)では、ガラクトースの利用経路に2個のよく似た遺伝子が含まれていて、補助誘導因子(GAL3)と酵素(GAL1)をコードしている。この2つは、他の酵母に現在もみられる単一の二機能性祖先遺伝子から生じたものである。重複してできた最初の2個の遺伝子の間に生じると考えられる対立は、主として調節配列に起こった一連の適応変化によって解消されてきた。この緩やかな変化は1億年近くかけて完了し、Gal3がガラクトキナーゼ活性を完全に失うことで締めくくられた。そしてGAL1とGAL3は、より複雑で、おそらくはより最適な遺伝的経路に組み込まれたのである。 2007年10月11日号の Nature ハイライト 気候:湿潤化する気候 遺伝:道の分かれ目 医学:RNAi治療が復活? 医学:マイクロRNAと転移の関係 宇宙:ダマスカスへの道の向こうに見えたもの 物理:位相を正確に計る方法 物性:4番目はフェロトロイディシティ 細胞:アドレナリン性の炎症 神経:神経伝達物質の輸送 目次へ戻る