Nature ハイライト
構造生物学:抗ピロリ菌標的の構造
Nature 493, 7431
胃内病原菌であるピロリ菌(Helicobacter pylori)が胃の酸性環境中で生き延びるには、プロトン感受性内膜尿素チャネルのHpUreIが不可欠である。今回、HpUreIのX線結晶構造が解かれ、その構造から、中性pHでは閉じるが酸性pHでは開いて尿素を取り込み、酸性度を抑えるこのチャネルが、膜を越えて選択的に尿素を輸送する仕組みが明らかになった。ピロリ菌には世界人口の約半数が感染しており、慢性感染に対する治療効果は抗生物質への耐性が増すとともに低下する。今回の研究により、ピロリ菌を根絶するために従来使われてきた抗生物質に取って代わる可能性のある小分子阻害剤の発見が促進されそうだ。
2012年1月10日号の Nature ハイライト
進化:脊椎動物の頭蓋顔面の初期進化
構造生物学:セルロース合成の反応機構
宇宙:アンドロメダ銀河の超高光度X線源
工学:フォトニックナノアレイの新たな次元
工学:ソフトマターの秩序立った振る舞い
遺伝:ヒト集団内で最近起こった遺伝的変動
神経生物学:ショウジョウバエでの軽い接触の感知
構造生物学:初めてとらえられたインスリンと受容体の結合のようす
構造生物学:抗ピロリ菌標的の構造