Nature ハイライト

構造生物学:抗ピロリ菌標的の構造

Nature 493, 7431

胃内病原菌であるピロリ菌(Helicobacter pylori)が胃の酸性環境中で生き延びるには、プロトン感受性内膜尿素チャネルのHpUreIが不可欠である。今回、HpUreIのX線結晶構造が解かれ、その構造から、中性pHでは閉じるが酸性pHでは開いて尿素を取り込み、酸性度を抑えるこのチャネルが、膜を越えて選択的に尿素を輸送する仕組みが明らかになった。ピロリ菌には世界人口の約半数が感染しており、慢性感染に対する治療効果は抗生物質への耐性が増すとともに低下する。今回の研究により、ピロリ菌を根絶するために従来使われてきた抗生物質に取って代わる可能性のある小分子阻害剤の発見が促進されそうだ。

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