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生態:生物多様性はどのように疾患と闘うのか

Nature 494, 7436

寄生虫感染により重度の肢奇形を示すタイヘイヨウアマガエル(左)と、同じ寄生虫に感染しながらもあまり影響の見られないウシガエル(右)。
寄生虫感染により重度の肢奇形を示すタイヘイヨウアマガエル(左)と、同じ寄生虫に感染しながらもあまり影響の見られないウシガエル(右)。 | 拡大する

Credit: D. Herasimtschuk, Freshwaters Illustrated

生態系で生物多様性が減少すると、病原体の伝播および宿主の疾患に影響を及ぼして病原体が優位に立つ可能性があることが、いくつかの証拠から示唆されている。病原体は複数の宿主生物種に感染する傾向があるが、それぞれの宿主生物種の感染を維持および伝播する能力には差がある場合がある。そして、生物多様性によって疾患のリスクを抑えるためには、抵抗性のある宿主はその生態系に最後に出現し、最初に消える必要があるだろう。そうだとすると、種数の少ない群集では非常に感染しやすい宿主が優占すると考えられる。今回、湿地帯のフィールド調査と実験的なメソコスムを組み合わせた研究で、寄生性の扁形動物Ribeiroia ondatraeの感染を経験している両生類群集で見られる疾患と多様性の間の負の相関が、こうした「希釈効果」の結果であることが明らかにされた。これらの知見は、感染症の広がりを最小限に抑えるための費用効率に優れた手法として生物多様性が有用なことを示している。

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