Nature ハイライト
細胞:腸上皮の静止細胞
Nature 495, 7439
腸陰窩で、細胞周期の進行が遅い静止状態の幹細胞が、細胞周期のより速い幹細胞と共存しているかどうかについては、激しい議論が続いている。D Wintonたちは、細胞周期の進行が遅いラベル保持細胞(label-retaining cell;LRC)の系譜をin vivoで追跡する新しい方法を用いて、パネート細胞への運命拘束を受けた特徴を持っているが、Lgr5などの幹細胞マーカーも発現しているLRC集団を見いだした。細胞周期の進行の遅いこれらの細胞は、細胞分裂をしないでパネート細胞に分化するが、損傷を受けた場合にはそれに応答して幹細胞ニッチを再び作り出し、腸のすべての細胞系譜の再生にかかわることもできる。この研究は、静止細胞がクローンを生じる予備の細胞集団として機能していることを示唆しており、こうした細胞集団は腸のがんや炎症の病理に関与している可能性がある。
2013年3月7日号の Nature ハイライト
神経科学:鳥を歌わせるのは何
細胞:腸上皮の静止細胞
構造生物学:RNAから一口噛みとろうとしているエキソソームを見る
宇宙:一番近い銀河までの正確な距離
材料:二酸化炭素分離に適した細孔特性
化学:メタノール経済を促進する触媒
気候科学:スノーボールアースにおける海洋の役割
古生物学:太古の昆虫strashilidは恐竜の寄生虫ではなかった
分子生物学:創傷治癒に重要な切り替えポイント
分子生物学:不適合コドンと時計機能