Nature ハイライト
気候科学:スノーボールアースにおける海洋の役割
Nature 495, 7439
新原生代の約7億5000万〜6億3500万年前に全球的なスノーボールアースが存在した可能性をめぐって活発な議論が交わされている。しかし、凍結が全球に及んでいたかどうかはともかくとして、大規模な氷河作用が起きたことは明らかである。これまでのほとんどの研究は、当時働いていた大気過程に注目しており、海洋の役割はおおむね無視されていた。今回Y Ashkenazyたちは、厚さ1 kmの氷層があり、弱い地熱フラックスが伴うと仮定すると、スノーボールの海洋には、激しい混合に加えて、赤道付近の強い鉛直循環、赤道ジェット、大規模な渦という特徴があっただろうことを示している。また沿岸湧昇によって、大陸縁辺付近には開放水面が生じた可能性がある。今回の結果は、スノーボールイベントの時期における光合成生物の生存と、現在の地質学的観測や地球化学的観測の結果の解釈に影響を及ぼす。
2013年3月7日号の Nature ハイライト
神経科学:鳥を歌わせるのは何
細胞:腸上皮の静止細胞
構造生物学:RNAから一口噛みとろうとしているエキソソームを見る
宇宙:一番近い銀河までの正確な距離
材料:二酸化炭素分離に適した細孔特性
化学:メタノール経済を促進する触媒
気候科学:スノーボールアースにおける海洋の役割
古生物学:太古の昆虫strashilidは恐竜の寄生虫ではなかった
分子生物学:創傷治癒に重要な切り替えポイント
分子生物学:不適合コドンと時計機能