Nature ハイライト
ゲノミクス:集団のエピゲノム多様性パターンの解析
Nature 495, 7440
自然に生じるエピジェネティック変異(DNA塩基配列の変化以外の仕組みで生じて遺伝する、遺伝子発現の変化)は、自然の遺伝的変異と同様に、表現型の多様性を生み出す源の1つである。しかし、エピジェネティック変異がどのようにして生じるのか、また遺伝子変異とエピジェネティック変異とが集団レベルでどのように関連するのかは、ほとんど研究されていない。今回の研究で、北半球の各地で単離されたシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の150を超える系統からなる集団について、ゲノム、メチローム、トランスクリプトームの塩基配列の解読により、集団レベルのエピゲノム解析が、全ゲノムにわたって一塩基の分解能で初めて行われた。DNAメチル化変異が非常に多数見つかり、その多くが遺伝子変異と関連していた。解析によって、RNA依存性DNAメチル化の標的となる遺伝子は、トランスポゾンを抑制する仕組みを流用して、栄養組織での抑制状態を維持したり、花粉や種子、生殖細胞系の発生の際に遺伝子を正しく発現させたりしている可能性があることがわかった。
2013年3月14日号の Nature ハイライト
計測:NMRの能力を向上させる
ゲノミクス:集団のエピゲノム多様性パターンの解析
神経科学:脳が空間と時間を結びつける仕組み
物理:機械振動と量子状態記憶
材料:オプトエレクトロニクス用のマイクロメートルサイズのTiO2微結晶
地球:水と水素はマントル内で混合しない
神経科学:CALHM1 ATPアーゼは3つの味に関わっている
細胞:骨髄には複数の幹細胞ニッチが存在する
構造生物学:カルシウムが筋細胞を駆動する仕組み