最近、土星を回る氷の衛星エンセラダスの表面から水が活発に噴き出しているのが発見され、興奮が広がった。なぜならこの発見は、エンセラダスの表面下に水が液体のままで存在しているかもしれないことを示唆するからだ。だがエンセラダスにはいくつかの地質学的な難問がある。その1つは、地質学的に活発に活動している場所がなぜ正確に南極に一致しているのかというもので、今回F NimmoとR T Pappalardoがこの問題に取り組んだ。そして、エンセラダスの自転軸の向きの変化がその原因らしいこと、またその向きの変化は低密度の物質が表面まで湧出してきたために起こったことを突き止めた。エンセラダスの軌道の進行方向に面した半球とその裏側の半球にある衝突クレーターの分布を比較すれば、自転軸の向きの変化に関するこの理論が正しいかどうかわかるだろう。