Nature ハイライト

医学:ダウン症候群

Nature 441, 7093

ダウン症候群は染色体を余分に1本もつことによって起こる。つまり、21番染色体にある、1つあるいは複数の遺伝子の遺伝子量が1.5倍に増加することが、この症候群にみられる広範な影響を何らかの形で引き起こしている。遺伝子ノックアウトマウスを使った研究から、この症候群に関与する有力な候補として2つの遺伝子が同定された。DSCR1およびDYRK1Aの遺伝子量が1.5倍になると、転写因子NFATにかかわるシグナル伝達経路の調節が不安定になるのである。この発見は、NFATc1〜4やカルシニューリンに変異をもつマウスがダウン症候群のほとんどすべての特徴を示すという、以前に示された予想外の知見に続くものだ。  これとは別の研究で、ショウジョウバエのゲノム全体にわたるRNA干渉を使ったスクリーニングから、保存されたNFAT調節因子の存在が明らかになった。NFATは脊椎動物にのみ存在する転写因子で、この研究では、哺乳類種のタンパク質を人工的に導入したショウジョウバエ細胞を使ってタンパク質の機能を研究するという方法によって、新たな研究分野が開拓された。NFATタンパク質の細胞内局在を調節する経路は種を越えてよく保存されており、またこの新しい方法によって、通常は脊椎動物に発現する転写因子の調節体を新たに見つけだすことが可能となるかもしれない。

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