Nature ハイライト

Cover Story:発展中の3D画像:モバイル機器に使え、眼鏡の要らない三次元ディスプレイ

Nature 495, 7441

透明な回路基板から得られた、HP社ロゴの3Dカラー画像。
透明な回路基板から得られた、HP社ロゴの3Dカラー画像。 | 拡大する

Credit: Kar Han Tan

特殊な眼鏡を必要としないグラスレス三次元(3D)ディスプレイは、データ可視化、医療トレーニングやエンターテインメントなどの分野に大変革をもたらす可能性がある。モバイル機器に適用されれば、その影響は特に大きいだろう。ホログラフィーは3Dを見るのに理想的だが、遅すぎたりコストがかかり過ぎたりするために応用に結びつかない場合が多い。別の方法として、さまざまな幾何光学的技法を使って同時に多方向から見ることができる3D像を作り出す多視点方式がある。ヒューレット・パッカード社研究所(米国パロアルト)の研究チームは、特にモバイル機器に適した新しい多視点3Dディスプレイを開発した。モバイル機器には、高い空間解像度と広角視域を持つ薄型ディスプレイが必要である。今回の新デバイスの中核となるのは、バックライト表面にエッチングされた色と視点の異なる一連の方向性グレーティングピクセルである。このディスプレイには、現在LCD(液晶ディスプレイ)スクリーンで使われているものと非常によく似たLEDバックライトが使用されている。研究チームは、透明タイプの携帯型試作品を作製し、127ピクセル/インチの解像度で、最高で6つの異なる200視点画像からなる動画を表示させ、ディスプレイが動作することを実証している。表紙は、受動変調バックライトからの3D画像である。(Letter p.348; N&V p.316)

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