Nature ハイライト
遺伝:条虫類4種のゲノム塩基配列の解読
Nature 496, 7443
条虫類(サナダムシ類)が引き起こすエキノコックス症や嚢虫症は、いずれもヒトの寄生虫症として最も重症な部類のものであり、世界保健機関の「顧みられない熱帯病」リストに掲載されている。そのため、今回、ヒト感染性の条虫類である多包条虫(Echinococcus multilocularis)、単包条虫(E. granulosus)、有鉤条虫(Taenia solium)、および実験室モデルとして使われるHymenolepis microstomaの4種のゲノム塩基配列が解読され、条虫類感染症を治療するための新しい薬剤標的候補が突き止められたことは、喜ばしい展開である。これらのゲノム塩基配列の解析により、寄生の進化を解明するための手がかりが得られた。また、他の動物に広く存在する遺伝子および経路が非常に多く失われている一方で、遺伝子が種特異的に拡大していることが明らかになった。多包条虫の1,000種類以上のタンパク質が治療標的候補となることがわかり、そのうち判定スコアが最も高い200種類近くは、既存の薬剤の標的となりそうである。
2013年4月4日号の Nature ハイライト
古気候:鮮新世における海の気候モデル
地球:北米西部はどのようにして出来たか
遺伝:条虫類4種のゲノム塩基配列の解読
構造生物学:結合型および非結合型のクリプトクロムの構造
物理:量子磁気スイッチング
ナノテクノロジー:ナノ粒子結晶の3D観測
ゲノミクス:パンコムギの祖先2種のゲノム解読
生化学:サーチュインが持つタンパク質リシンデアセチラーゼ活性
生化学:これまでに例のないホスホノ基転移反応を触媒する酵素