Nature ハイライト
物理:量子磁気スイッチング
Nature 496, 7443
現在の磁気メモリデバイスや論理デバイスは、ギガヘルツのスイッチング速度で動作する。より速いテラヘルツ領域を実現するには新しい技術が必要となるだろう。コヒーレントなスピン操作を用いる超高速全光磁気スイッチングは、主要な候補の1つである。I Perakisたちは、反強磁性基底状態からの「巨大」磁化成分の生成によって、磁性状態のフェムト秒全光スイッチングを実現する技術を開発したことを報告している。Pr0.7Ca0.3MnO3における強磁性秩序へのスイッチングはわずか120フェムト秒足らずで起こる。これは、非平衡の磁気相転移が起こるにはきわめて短い時間間隔である。これは、磁気スイッチングの新しい原理であり、分子状態の適切な重ね合せの生成によって、化学反応や生化学反応の光生成物が影響を受けるフェムト秒化学の過程と類似している。今回の成果は、スピン化学、量子生物学、スピンエレクトロニクスの分野にも関連がある。
2013年4月4日号の Nature ハイライト
古気候:鮮新世における海の気候モデル
地球:北米西部はどのようにして出来たか
遺伝:条虫類4種のゲノム塩基配列の解読
構造生物学:結合型および非結合型のクリプトクロムの構造
物理:量子磁気スイッチング
ナノテクノロジー:ナノ粒子結晶の3D観測
ゲノミクス:パンコムギの祖先2種のゲノム解読
生化学:サーチュインが持つタンパク質リシンデアセチラーゼ活性
生化学:これまでに例のないホスホノ基転移反応を触媒する酵素