Nature ハイライト
微生物学:持続生残細胞に効く抗生物質
Nature 503, 7476
現在ある抗生物質では今後の感染に対処できなくなるのではないかという懸念が高まっている。それは、細菌が抗生物質に対して示す応答が2通りあるためである。つまり、細菌の一部は、抗生物質に対して遺伝的耐性を生じるが、持続生残細胞として知られる休眠細胞(抗生物質の酵素標的が不活性化されている)を形成することで抗生物質の存在下でも生き残れるようになるものもある。K Lewisたちは、このようにエネルギーが制限された休眠細胞内の標的を改変して、持続生残菌を死滅させることのできそうな化合物の探索を行った。そして、アシルデプシペプチド系抗生物質のADEP4が、ClpPプロテアーゼおよび細胞のタンパク質分解装置を活性化し、持続生残菌細胞に強制的にさまざまな細胞タンパク質を分解させて、それらの細胞を殺すことを実証した。これは重要な結果となりそうだ。ADEP4のような化合物と従来使用されている抗生物質とを併用すれば、慢性感染を抑制するための新規でロバストな戦略になると考えられるからである。
2013年11月21日号の Nature ハイライト
生物地球化学:陸水からの二酸化炭素輸送
発生生物学:母性・胚性転移の引き金
微生物学:持続生残細胞に効く抗生物質
分子生物学:非コードRNAがDNAメチル化を妨げる
宇宙:地球に似ているが、暑過ぎる
進化:集団のサイズは文化的遺産に影響する
免疫:よく見られる皮膚疾患への細菌の関わり
免疫:HIVが自然免疫を巧みにかわす仕組み
分子生物学:状況変化に応じた体温調節
植物:適切な温度で花が形成される仕組み