Nature ハイライト
細胞:タンパク質合成の微妙なバランス
Nature 509, 7498
タンパク質合成は、ほとんどの細胞で同程度に行われている「日常的」な機能であるという考え方は、反証するデータがなかったため、これまで広く受け入れられてきた。しかし、タンパク質合成速度をピューロマイシン類似体OP-Puroの投与によってin vivoで定量する技術がマウスで使えるようになり、現在ではこの考え方の検証が可能になっている。S Morrisonたちは、この手法とフローサイトメトリーを併用して、個々の造血幹細胞(HSC)のタンパク質合成量を調べ、HSCでの1時間当たりのタンパク質合成速度は、他のほとんどの種類の造血系細胞よりも低いことを明らかにした。タンパク質合成速度が増加しても減少してもHSC機能が損なわれることも、遺伝学的手法によって示された。この研究は、HSCの維持がタンパク質合成速度の高度な調節に依存していること、また、適切なタンパク質合成量の維持が細胞の恒常性に極めて重要である可能性を示唆している。
2014年5月1日号の Nature ハイライト
細胞:タンパク質合成の微妙なバランス
免疫:HIV-1中和抗体の生成過程
宇宙:トップスピンで自転する系外惑星がか座β星b
光学:原子光学にかなった単一分子光子
有機化学:キラリティーが新たな次元に
気候科学:4万5000年間の東インド洋の気候記録
地球:マントルメルトが滑らかにするテクトニックプレートの動き方
生態学:コンゴの雨林で失われつつある緑
細胞:初期胚を再プログラム化する
構造生物学:血小板凝集に関わる重要なGPCRの構造