Nature ハイライト
構造生物学:血小板凝集に関わる重要なGPCRの構造
Nature 509, 7498
ヒトP2Y12受容体の結晶構造が2つの研究グループによって報告された。一方のグループは、抗血栓薬AZD1283との複合体の構造を、もう一方は完全アゴニスト(内在性アゴニストであるADPによく似た化合物)、および部分アゴニストとの複合体の構造を明らかにしている。P2Y受容体群はプリン作動性Gタンパク質共役受容体(GPCR)ファミリーの1つで、細胞外ヌクレオチドによって活性化される。P2Y12受容体は主に血小板の表面に存在し、血小板活性化と血栓形成を調節しており、複数の重要な抗血栓薬の標的となっている。P2Y12受容体の全体的な構造は他のGPCR類と似ているが、リガンド結合ポケットの形と位置が独特である。新たに明らかにされた3種類の構造の比較から、アゴニストの結合がGPCRの細胞外ドメインの大規模な再編成を引き起こすことが分かった。
2014年5月1日号の Nature ハイライト
細胞:タンパク質合成の微妙なバランス
免疫:HIV-1中和抗体の生成過程
宇宙:トップスピンで自転する系外惑星がか座β星b
光学:原子光学にかなった単一分子光子
有機化学:キラリティーが新たな次元に
気候科学:4万5000年間の東インド洋の気候記録
地球:マントルメルトが滑らかにするテクトニックプレートの動き方
生態学:コンゴの雨林で失われつつある緑
細胞:初期胚を再プログラム化する
構造生物学:血小板凝集に関わる重要なGPCRの構造