Nature ハイライト

細胞:初期胚を再プログラム化する

Nature 509, 7498

間期の2細胞期マウス胚にOct4-GPFを持つドナー核を移植して得られた胚盤胞。
間期の2細胞期マウス胚にOct4-GPFを持つドナー核を移植して得られた胚盤胞。 | 拡大する

Credit: Mitalipov laboratory at OHSU

不妊治療における体細胞核移植(SCNT)などを行った後に起こる再プログラム化は、分裂中期で厳密に停止しているレシピエント(移植される側)細胞質に依存すると考えられている。今回S Mitalipovたちは、間期の2細胞期マウス胚が、移植された体細胞核の再プログラム化と、胚性幹細胞またはクローン化マウスの作製を補助することを示した。これは、多能性を誘導できる因子が間期の細胞質に存在していること、また、このような細胞から核を除去しても、これまでに考えられていたように必要な再プログラム化因子がレシピエントの卵から失われるわけではないことを示唆している。これらの知見をヒトに応用すれば、提供された間期の細胞(受精胚)は、中期(未成熟な卵細胞)のものよりも利用しやすいため、再生応用のためにヒト胚性幹細胞を作製する試みの後押しとなるかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度