Nature ハイライト
細胞:初期胚を再プログラム化する
Nature 509, 7498
不妊治療における体細胞核移植(SCNT)などを行った後に起こる再プログラム化は、分裂中期で厳密に停止しているレシピエント(移植される側)細胞質に依存すると考えられている。今回S Mitalipovたちは、間期の2細胞期マウス胚が、移植された体細胞核の再プログラム化と、胚性幹細胞またはクローン化マウスの作製を補助することを示した。これは、多能性を誘導できる因子が間期の細胞質に存在していること、また、このような細胞から核を除去しても、これまでに考えられていたように必要な再プログラム化因子がレシピエントの卵から失われるわけではないことを示唆している。これらの知見をヒトに応用すれば、提供された間期の細胞(受精胚)は、中期(未成熟な卵細胞)のものよりも利用しやすいため、再生応用のためにヒト胚性幹細胞を作製する試みの後押しとなるかもしれない。
2014年5月1日号の Nature ハイライト
細胞:タンパク質合成の微妙なバランス
免疫:HIV-1中和抗体の生成過程
宇宙:トップスピンで自転する系外惑星がか座β星b
光学:原子光学にかなった単一分子光子
有機化学:キラリティーが新たな次元に
気候科学:4万5000年間の東インド洋の気候記録
地球:マントルメルトが滑らかにするテクトニックプレートの動き方
生態学:コンゴの雨林で失われつつある緑
細胞:初期胚を再プログラム化する
構造生物学:血小板凝集に関わる重要なGPCRの構造