Nature ハイライト
微生物生態学:抗生物質耐性の伝播に土壌細菌は関与していない
Nature 509, 7502
病院内の環境では、近縁でない細菌の間でも抗生物質耐性遺伝子が簡単に移動することから、土壌中では耐性遺伝子の多様性が非常に高いことが、環境中の微生物から病原微生物への抗生物質耐性の流入増加の一因となっているのではないかと推測されてきた。しかし、今回行われた研究では、この推測が否定されている。K Forsbergたちは、機能的メタゲノミクス選別法によって、一連の農地土壌と草原土壌から18種類の抗生物質に対する耐性遺伝子を拾い出し、土壌細菌には種間の耐性遺伝子交換を示す塩基配列の特徴がほとんど見られないことを明らかにした。土壌中で抗生物質耐性を広める主要な因子は、水平伝播したDNAエレメントではなく、特定の微生物であるらしい。
2014年5月29日号の Nature ハイライト
構造生物学:低分子RNAのRsmZは「タンパク質のスポンジ」として機能する
量子物理学:重要な時期にきた磁気モーメントによる物質–反物質対称性の検証
気候科学:炭素取り込み量の大半を占めるオーストラリア
気候科学:海氷は波浪が苦手
微生物生態学:抗生物質耐性の伝播に土壌細菌は関与していない
神経科学:非神経細胞であるメルケル細胞は触覚に関わっている
神経科学:攻撃行動を引き起こす視床下部ニューロン
発生生物学:カイコの雌化因子
免疫:胚中心での免疫系B細胞の選択