Nature ハイライト
神経科学:攻撃行動を引き起こす視床下部ニューロン
Nature 509, 7502
マウスの視床下部腹内側部には、エストロゲン受容体Esr1の発現に差があるニューロン集団が混在する。このうちEsr1+ニューロンは、人為的に活性化させると攻撃行動が誘発されることがこれまでの研究で分かっている。今回、D Andersonたちはこうした結果を拡張して、このニューロンの活性化の程度に応じて、社会行動の連続的な変化に沿って段階的に行動反応が起こることを示した。弱い活性化で、遭遇相手の詳細探査が始まるが、さらに刺激を続けると、雄は、雌雄いずれの相手に対してもマウンティング行動を起こす。刺激の強度を増すとマウンティング行動は攻撃行動に移行する。従って、これらの結果により、ニューロン活動の程度によって段階的に変化する一連の社会行動の性質を制御する神経回路の存在が明らかになった。
2014年5月29日号の Nature ハイライト
構造生物学:低分子RNAのRsmZは「タンパク質のスポンジ」として機能する
量子物理学:重要な時期にきた磁気モーメントによる物質–反物質対称性の検証
気候科学:炭素取り込み量の大半を占めるオーストラリア
気候科学:海氷は波浪が苦手
微生物生態学:抗生物質耐性の伝播に土壌細菌は関与していない
神経科学:非神経細胞であるメルケル細胞は触覚に関わっている
神経科学:攻撃行動を引き起こす視床下部ニューロン
発生生物学:カイコの雌化因子
免疫:胚中心での免疫系B細胞の選択