Nature ハイライト
発生生物学:カイコの雌化因子
Nature 509, 7502
勝間進(東京大学)たちは、80年以上にわたって昆虫遺伝学者たちを悩ませてきた疑問に答えを示した。それは、カイコガ(Bombyx mori)など多くの鱗翅目昆虫では、W染色体がどのようにして雌性を決定するのかという問題である。この系では、雄は2本のZ性染色体を持ち、雌はZとWの性染色体を1本ずつ持つ。今回、雌化因子は、W染色体に由来する単一のpiRNA(PIWI-interacting RNA)であることが示された。このpiRNAは、CCCHタイプのジンクフィンガータンパク質をコードするZ染色体上の遺伝子(Mascと命名)の産物を抑制する。このサイレンシングは次に、胚の性決定カスケードの下流末端で働くdoublesex遺伝子の雌特異的アイソフォームの産生に重要となる。雄の胚でMascタンパク質は遺伝子量補正と雄化の両方を制御している。
2014年5月29日号の Nature ハイライト
構造生物学:低分子RNAのRsmZは「タンパク質のスポンジ」として機能する
量子物理学:重要な時期にきた磁気モーメントによる物質–反物質対称性の検証
気候科学:炭素取り込み量の大半を占めるオーストラリア
気候科学:海氷は波浪が苦手
微生物生態学:抗生物質耐性の伝播に土壌細菌は関与していない
神経科学:非神経細胞であるメルケル細胞は触覚に関わっている
神経科学:攻撃行動を引き起こす視床下部ニューロン
発生生物学:カイコの雌化因子
免疫:胚中心での免疫系B細胞の選択