Cover Story:この1年を語る10の物語:2014年のニュースメーカーたち
Nature 516, 7531
2014年の科学界で話題となった10人をNature編集部が選び出す、年末恒例の「Nature’s 10」では、今年起きた重要な出来事や発見から、科学を正しく機能させようという人類の努力までを振り返る。今年選ばれたのは、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(comet 67P)に着陸機「フィラエ」を着陸させた、欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査「ロゼッタ計画」のフライトディレクターAndrea Accomazzo、人工知能およびロボット工学の急速な進歩に貢献したRadhika Nagpal(米国ハーバード大学)、低温電子顕微鏡を使った一連の研究がスポットを浴びることになったSjors Scheres(英国MRC分子生物学研究所)の3人を筆頭に、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者で、ソーシャルメディアを通じてアイス・バケツ・チャレンジを今年の社会現象にまで広げた功績がたたえられている元野球選手のPete Frates、シエラレオネでエボラ出血熱の解明と感染拡大防止に一生を捧げ、7月にこの病気で亡くなったSheik Humarr Khan(シエラレオネ・ケネマ国立病院)、誘導多能性幹(iPS)細胞由来の細胞を使って加齢黄斑変性治療のための初の臨床試験を行った高橋政代(理化学研究所)、インド宇宙研究機関(ISRO)のトップを務めるKoppillil Radhakrishnan、誕生直後の宇宙で生じた重力波を発見したとする報告の問題点を明らかにしたDavid Spergel(米国プリンストン大学)、権威あるフィールズ賞を女性として初めて受賞した数学者Maryam Mirzakhani(米国スタンフォード大学)、そして、がん免疫療法を研究室から臨床現場へ移行させるのに極めて重要な研究を行ったSuzanne Topalian(米国ジョンズホプキンス大学医学系大学院)の10人が選ばれた。
2014年12月18日号の Nature ハイライト
有機合成:さらに簡単にできる炭素–炭素結合
生化学:神経疾患へのAUTS2の関与
構造生物学:A型インフルエンザウイルスポリメラーゼの完全構造
宇宙物理学:星団は同い年
材料科学:マルチフェロイック性を2段階で使う
生態:国境なき保全を
感染症:乾季の蚊はどこへ?
免疫学:抗インフルエンザ抗体の作出法
がん:遺伝子編集で肺がんの機構が明らかに
細胞:真核生物ゲノムの折りたたみ