Nature ハイライト
生態:国境なき保全を
Nature 516, 7531
保護地域は、生息地の消失などの人為的要因が生物多様性に及ぼす圧力を軽減することを意図している。その目的のために国際的に合意された目標は、2020年までに保護地域ネットワークを世界の陸域の17%まで拡大することである。しかし、生物多様性の分布状況は国や生息地ごとに異なっており、効果を最大限に引き出すにはどの地域を保護すべきかという問題が生じる。F Montesino Pouzolsたちは今回、世界各国が協調して保護地域ネットワークを目標の17%まで拡大することで、保護される種の分布域および生態地域が平均して3倍になる可能性を明らかにした。一方で、国ごとに個別の優先順位を決定した場合、その有効性はかなり減少する。また、2040年までに予測される土地利用の変化とそれによる生息地の消失を考慮すると、現時点の保護レベルを維持することは不可能であり、絶滅が危惧される1000種以上の生物が分布域の50%以上を失うことになる。以上のことから著者たちは、実効性のある生物多様性保全のためには、土地利用政策および保護地域の決定を国際レベルで調整する必要があると考えている。
2014年12月18日号の Nature ハイライト
有機合成:さらに簡単にできる炭素–炭素結合
生化学:神経疾患へのAUTS2の関与
構造生物学:A型インフルエンザウイルスポリメラーゼの完全構造
宇宙物理学:星団は同い年
材料科学:マルチフェロイック性を2段階で使う
生態:国境なき保全を
感染症:乾季の蚊はどこへ?
免疫学:抗インフルエンザ抗体の作出法
がん:遺伝子編集で肺がんの機構が明らかに
細胞:真核生物ゲノムの折りたたみ