Nature ハイライト

がん:遺伝子編集で肺がんの機構が明らかに

Nature 516, 7531

細菌のCRISPR/Cas9系は、体細胞での迅速かつ正確なゲノム編集を可能にし、ヒト疾患のマウスモデル作製に役立つツールであることが証明されつつある。今回、2つの研究グループが、このCRISPR/Cas9技術を用いて、ヒトの肺腫瘍に見られる遺伝的変化を、マウスの肺に導入したことを報告している。D Maddaloたちは、Eml4–Alk再構成をマウス肺に導入し、その結果として生じたEML4–ALK融合タンパク質が、同じ変化を持つヒト肺がんと組織病理学的に類似した肺腫瘍を発生させることを示した。さらに、ALKキナーゼ阻害剤がこの腫瘍の退縮を引き起こすことも分かった。F Sánchez-Riveraたちは、いくつかの既知の腫瘍抑制因子遺伝子の機能喪失が、他の遺伝的変化と協調して、肺がんの発生を促進することを示している。遺伝的変化の異なる組み合わせによって、異なる分子的、組織病理学的な特徴を持つ肺腫瘍が生じる。これらの研究は、CRISPR/Cas9系を用いることで、マウスモデルにおいて、これまでの手法よりも迅速にがん遺伝子候補や腫瘍抑制因子遺伝子の機能を調べられることを実証している。

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