Nature ハイライト
気候科学:地球温暖化が停滞している期間の気候モデル
Nature 517, 7536
1990年代後半に始まった地球温暖化の減速あるいは停滞はあちこちで盛んに取り上げられ、これに促されて一部の政策立案者は気候モデルの正確さに関する懸念を表明するようになった。なぜなら、停滞期間における温暖化の速度は、現在の大半の気候モデルの結果の方が観測結果よりも速いからである。J MarotzkeとP Forsterは、1900~2012年の全球平均地表温度について、シミュレーションによって得られた15年間の変化傾向と62年間の変化傾向の解析を行った。そして、観測された温暖化はどの時点においても、シミュレーションから得られる温暖化速度の上限、もしくは下限だった可能性があるが、モデル過程に系統的な偏りがあることを示す証拠はないことが明らかになった。また、シミュレーションから得られる変化傾向と観測された変化傾向の差異は全て、内部変動、もしくはモデル入力として使われている放射強制力の変動のいずれかの結果である可能性が高いことも分かった。著者たちは、温室効果ガス濃度上昇に起因する放射強制力に対する応答を気候モデルが系統的に過大評価しているという説には根拠がないと結論している。
2015年1月29日号の Nature ハイライト
気候科学:地球温暖化が停滞している期間の気候モデル
植物科学:シロイヌナズナでの二次細胞壁合成
分子生物学:CRISPR-Cas9を遺伝子発現の調節に使う
天文学:低温星の年齢測定
量子物理学:ローレンツ対称性の新しい検証
ゲノミクス:ヒトゲノムの大規模塩基配列解読
医学:結核性肉芽腫での血管新生
幹細胞:幹細胞による肺の再生
構造生物学:DNAメチルトランスフェラーゼの自己阻害と活性化