Nature ハイライト
植物科学:シロイヌナズナでの二次細胞壁合成
Nature 517, 7536
植物の細胞壁は細胞の形態を決めており、また細胞環境との情報交換に関わっている。しかし、バイオ燃料に使われるバイオマスやパルプ・紙産業の主原料となるのは、木部細胞などのさまざまな種類の細胞の集積によって作られる二次細胞壁である。二次細胞壁の生合成に影響を与える転写調節因子の全体像については大部分が解明されていない。今回S Bradyたちは、シロイヌナズナ(Arabidopsis)で、数百個の転写因子が含まれ、タンパク質とDNAの相互作用を介して木部の形成を制御している遺伝子調節ネットワークについて報告している。遺伝子発現は一連のフィードフォワードループによって調節されており、それによって二次細胞壁が適切な時期に適切な場所で確実に形成される。著者たちは、この遺伝子調節ネットワークを用いて、塩分濃度や鉄欠乏などの非生物的ストレスが二次細胞壁での遺伝子調節に与える影響について新しい仮説を立て、その正当性を立証している。
2015年1月29日号の Nature ハイライト
気候科学:地球温暖化が停滞している期間の気候モデル
植物科学:シロイヌナズナでの二次細胞壁合成
分子生物学:CRISPR-Cas9を遺伝子発現の調節に使う
天文学:低温星の年齢測定
量子物理学:ローレンツ対称性の新しい検証
ゲノミクス:ヒトゲノムの大規模塩基配列解読
医学:結核性肉芽腫での血管新生
幹細胞:幹細胞による肺の再生
構造生物学:DNAメチルトランスフェラーゼの自己阻害と活性化