Nature ハイライト

生物物理学:DNAの動的構造を可視化

Nature 519, 7543

DNAについては、水素結合が形成された状態の構造が使われることが普通だが、これは静止状態に当たるもので、この分子の実際の動態を表していない。実際には、DNAは核酸塩基の過渡的な変化状態を次々と反映していくので、定量化や可視化が難しい。H Al-Hashimiたちは、このようなごく短時間だけ現れる形態の特徴をNMR法を用いて調べた。データから、このような形態は複製や翻訳の信頼性に影響を及ぼすのに十分なレベルで存在することが示された。特に、DNAやRNAの二本鎖中に存在する非典型的なdG•dTやrG•rUのような「ゆらぎ」誤対合は、互変異性で陰イオン性のまれな塩基により安定化されて、通常のワトソン・クリック型の誤対合へと一時的に変わることが見いだされた。

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