Nature ハイライト
微生物学:細胞の形態を決定するタンパク質の進化
Nature 519, 7543
真核細胞の際立った特徴の1つは細胞骨格と呼ばれる繊維ネットワークの存在で、これが細胞の形態を定め、細胞分裂などの過程に重要な役割を果たしている。細菌には細胞骨格がないが、真核生物のタンパク質であるチューブリンのホモログのFtsZタンパク質は存在する。FtsZは細胞分裂過程で環状構造を形成し、細胞をくびって細胞質分裂を起こさせる。チューブリンとFtsZが異なる役割を持つように進化した仕組みは分かっていなかったが、今回この答えが生命の3つの主要ドメインの1つである古細菌から得られたようだ。I Dugginたちは、古細菌のHaloferax volcanii由来のタンパク質CetZの構造と機能を調べた。CetZはチューブリンとFtsZの両方に近縁で、細胞形態の制御に関わっている。今回得られた結果は、このタンパク質ファミリーが、真核生物が進化するずっと以前から細胞形態の制御に関与していたことを示唆している。
2015年3月19日号の Nature ハイライト
化学:金属有機構造体での効率の良いCO2吸着
生物物理学:DNAの動的構造を可視化
構造生物学:複製開始複合体ORCの構造
宇宙物理学:星形成が起こっている初期銀河の観測
宇宙物理学:局部銀河における効率の良い星形成
有機化学:メタ位選択的C–H結合の活性化
実験進化学:進化は倍数性によって加速する
神経科学:温度の脳内表現
微生物学:細胞の形態を決定するタンパク質の進化
がん:抗腫瘍免疫療法のための新戦略