Nature ハイライト
神経科学:自閉症はδカテニンの機能喪失と関連する
Nature 520, 7545
男性は女性よりも自閉症になりやすい。従って、多因子遺伝仮説に基づくと、女性が自閉症になるには男性よりも高い生物学的閾値を超える必要があることになる。そこでT Turnerたちは、重度自閉症の女性患者が多発する家系の重症患者には、保存された残基に有害なバリアントが多く存在しているため、症例数が比較的少なくても、自閉症の重要な原因遺伝子が見つかりやすいのではないかと考えた。著者たちはこの方法を実践して、接着結合に関連するδカテニンの遺伝子CTNND2において、ミスセンスバリアントと遺伝子量変化の配列バリアントを同定した。ゼブラフィッシュと、野生型およびCtnnd2ヌル変異マウス胚由来の培養海馬ニューロンで機能解析を行い、さらに遺伝子の発現解析とネットワーク解析を行うことで、CTNND2が神経発生に極めて重要な役割を担っており、クロマチンの生物学と密接に関係することが明らかになった。
2015年4月2日号の Nature ハイライト
生態学:土地利用の変化が生物多様性の喪失に結び付く
神経科学:自閉症はδカテニンの機能喪失と関連する
がん:p53による腫瘍抑制の新機構
惑星科学:惑星の親星方向への移動を妨げる仕組み
量子物理学:ホン–オウ–マンデル実験におけるヘリウム4
光化学:溶液中の遷移金属錯体のダイナミクス
古生物学:有顎脊椎動物の起源を探る
植物科学:miRNAの前駆体は調節性ペプチドをコードしている
免疫学:皮膚の細菌と免疫系の間の相互作用
構造生物学:広範な活性を持つ抗デングウイルス抗体の構造