Nature ハイライト
量子物理学:ホン–オウ–マンデル実験におけるヘリウム4
Nature 520, 7545
ホン–オウ–マンデル効果は、区別がつかない2個の光子が50:50ビームスプリッターに入射すると、検出器の同時計数率にディップが生じるというもので、これによって量子力学の理論の基本的な特徴が実証される。このホン–オウ–マンデル効果に類似した古典的な効果は存在せず、この効果は量子情報や量子光学における他の多くの実験の基礎となっている。今回M Cheneauたちは、原子対生成に関するこれまでの進展に基づいて、光子の代わりにヘリウム4原子を使ったホン–オウ–マンデル実験を実現している。光子とは対照的に原子は質量を持つ粒子であるため、この実験によって、質量を持つ粒子のオブザーバブルを用いてベルの不等式の検証のような基礎的な量子物理学実験を行う可能性が開かれる。長い目で見れば、今回の結果は、量子力学における質量と重力の影響の研究、特に量子から古典への遷移の研究に役立つ可能性がある。
2015年4月2日号の Nature ハイライト
生態学:土地利用の変化が生物多様性の喪失に結び付く
神経科学:自閉症はδカテニンの機能喪失と関連する
がん:p53による腫瘍抑制の新機構
惑星科学:惑星の親星方向への移動を妨げる仕組み
量子物理学:ホン–オウ–マンデル実験におけるヘリウム4
光化学:溶液中の遷移金属錯体のダイナミクス
古生物学:有顎脊椎動物の起源を探る
植物科学:miRNAの前駆体は調節性ペプチドをコードしている
免疫学:皮膚の細菌と免疫系の間の相互作用
構造生物学:広範な活性を持つ抗デングウイルス抗体の構造