Nature ハイライト
植物科学:miRNAの前駆体は調節性ペプチドをコードしている
Nature 520, 7545
マイクロRNA(miRNA)は、その標的遺伝子の発現をメッセンジャーRNAのレベルで抑制することが主に知られている。miRNAはずっと大きな一次転写産物(pri-miRNA)のプロセシングによって生じる。J Combierたちは、少なくとも植物では、pri-miRNAは単にmiRNAの供給源であるだけでなく、調節性ペプチド(miPEP)もコードしている可能性があることを示唆するデータを報告している。さらに予想外なことだが、pri-miRNAから生じるmiPEPは、同じpri-miRNAから生じる成熟miRNAの蓄積を増大させ、それによってmiRNAの影響を増強するらしい。著者たちは、このようなペプチドのうちの2つであるmiPEP171bとmiPEP165aが植物の根の成長に役割を担っていることを実証している。活性を持ったmiPEPはこれらの他にさらに5つ見つかっているので、この現象は一般的なものだと考えられる。化学合成したmiPEP171bとmiPEP165aを植物に導入すると、天然物と同じ分子経路に従って移動し、根の成長に同様の影響が見られたことから、今回の観察結果は農学への応用が可能となりそうだ。
2015年4月2日号の Nature ハイライト
生態学:土地利用の変化が生物多様性の喪失に結び付く
神経科学:自閉症はδカテニンの機能喪失と関連する
がん:p53による腫瘍抑制の新機構
惑星科学:惑星の親星方向への移動を妨げる仕組み
量子物理学:ホン–オウ–マンデル実験におけるヘリウム4
光化学:溶液中の遷移金属錯体のダイナミクス
古生物学:有顎脊椎動物の起源を探る
植物科学:miRNAの前駆体は調節性ペプチドをコードしている
免疫学:皮膚の細菌と免疫系の間の相互作用
構造生物学:広範な活性を持つ抗デングウイルス抗体の構造