Nature ハイライト
生物工学:ゲノム編集に使える小さなCas9系酵素
Nature 520, 7546
RNA誘導型のエンドヌクレアーゼであるCas9は、ゲノム編集に適したツールとして広く使われている。しかし、一般的に用いられている化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)のCas9(SpCas9)は物理的にサイズが大きく、このことが、送達担体としてアデノ随伴ウイルス(AVV)を用いる際に障害となっている。今回F Zhangたちは、SpCas9より小さいCas9オルソログ6種類の特性解析を行い、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のCas9(SaCas9)がSpCas9と同程度の効率でゲノムを編集できることを見いだした。SaCas9とその単一ガイドRNAを含む発現カセットを単一のAAVベクターに組み込み、マウス肝臓のコレステロール調節遺伝子Pcsk9を標的としたところ、ベクター注入から1週間以内に40%を超える遺伝子改変が観察され、血清中のPcsk9値や総コレステロール値の大幅な低下が見られた。
2015年4月9日号の Nature ハイライト
神経科学:新旧の記憶が共存する機序
生物工学:ゲノム編集に使える小さなCas9系酵素
代謝:血管新生の炭素源となる脂肪酸
宇宙物理学:原始惑星系円盤内の複雑な有機物
惑星科学:土星の自転周期を見直す
惑星科学:月と地球の類似性は衝突体の組成によって説明できる
人類学:レバントはヨーロッパへの架け橋
神経科学:意思決定の神経的関連
神経科学:脳の発生を変化させる遺伝的バリアント
健康科学:心疾患のリスクと母親の年齢
分子生物学:Paf1は遺伝子サイレンシングを妨げる