Nature ハイライト

宇宙物理学:原始惑星系円盤内の複雑な有機物

Nature 520, 7546

彗星がかつて、生命発生に必要な水と有機物の種を初期地球にまいたという考えについては、さまざまな議論がなされてきた。この考えは、太陽系星雲の組成の信頼できる指標である彗星の組成が太陽系固有のものなのか、それとも惑星形成に伴って一般的に見られるものなのかという問題につながってくる。今回、K Öbergたちは、太陽系星雲に類似した若い星MWC 480の周りの原始惑星系円盤内に、シアン化物であるCH3CN、HC3NやHCNを検出したことを報告している。気相におけるこれらの窒素含有有機物の存在比は彗星のものと似ていることから、原始惑星系円盤内では複雑な有機物がより単純な揮発性物質と共に存在することが示唆され、原始太陽系に存在していた前生物的な化学物質は太陽系固有のものではないと考えられる。

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