Nature ハイライト
宇宙物理学:原始惑星系円盤内の複雑な有機物
Nature 520, 7546
彗星がかつて、生命発生に必要な水と有機物の種を初期地球にまいたという考えについては、さまざまな議論がなされてきた。この考えは、太陽系星雲の組成の信頼できる指標である彗星の組成が太陽系固有のものなのか、それとも惑星形成に伴って一般的に見られるものなのかという問題につながってくる。今回、K Öbergたちは、太陽系星雲に類似した若い星MWC 480の周りの原始惑星系円盤内に、シアン化物であるCH3CN、HC3NやHCNを検出したことを報告している。気相におけるこれらの窒素含有有機物の存在比は彗星のものと似ていることから、原始惑星系円盤内では複雑な有機物がより単純な揮発性物質と共に存在することが示唆され、原始太陽系に存在していた前生物的な化学物質は太陽系固有のものではないと考えられる。
2015年4月9日号の Nature ハイライト
神経科学:新旧の記憶が共存する機序
生物工学:ゲノム編集に使える小さなCas9系酵素
代謝:血管新生の炭素源となる脂肪酸
宇宙物理学:原始惑星系円盤内の複雑な有機物
惑星科学:土星の自転周期を見直す
惑星科学:月と地球の類似性は衝突体の組成によって説明できる
人類学:レバントはヨーロッパへの架け橋
神経科学:意思決定の神経的関連
神経科学:脳の発生を変化させる遺伝的バリアント
健康科学:心疾患のリスクと母親の年齢
分子生物学:Paf1は遺伝子サイレンシングを妨げる