Nature ハイライト
構造生物学:ヒトP2Y1受容体の構造
Nature 520, 7547
Gタンパク質共役受容体(GPCR)の1つであるヒトP2Y1受容体のX線結晶構造を、B Wuたちが報告している。膜タンパク質であるこの受容体は、P2Y12受容体と同じく、血小板の活性化と血栓形成を調節している。この2つのGPCRはどちらも、新規な抗血栓薬を開発する際の標的として重要である。今回報告された構造と以前に報告されているP2Y12受容体の構造との比較から、これら2つのGPCRではオルソステリックリガンドの結合部位がかなり異なっていることが分かった。P2Y1受容体の結合部位の方が、P2Y12受容体の結合部位よりもずっと浅いのである。ヌクレオチドアンタゴニストであるMRS2500、また非ヌクレオチドアンタゴニストであるBPTUが存在する状態でのこのタンパク質の構造が解かれ、MRS2500はオルソステリック部位に結合するが、BPTUはGPCRと脂質二重層との接触面に位置する独特のポケットに結合することが示された。
2015年4月16日号の Nature ハイライト
構造生物学:アディポネクチン受容体の構造
構造生物学:ヒトP2Y1受容体の構造
電気化学:より優れたアルミニウムイオン電池
有機化学:フロー法を用いた精密化学品の合成
地球化学:水星をちょっと加えるだけ
生態学:魚を乱獲されたサンゴ礁の回復
人間行動学:情緒的な出来事により弱かった記憶が強められる
神経科学:喉の渇きを制御する神経回路
がんゲノミクス:腫瘍の転移に固有の複雑性
乳がん:血管をまねることで転移を促す
がん:低酸素が腫瘍細胞に有利に働く