Nature ハイライト

有機化学:フロー法を用いた精密化学品の合成

Nature 520, 7547

工業薬品の製造法で標準的なのは連続フロー法だが、より複雑で繊細な精密化学品や医薬品の製造ではフロー法は使われないのが普通で、依然として「バッチ」法が選ばれている。今回、効率や安全性といった連続フロー法の利点を生かして医薬品などの分子を合成するプロトコルが提案されている。このフロー法で用いるのは不均一系触媒を充填したカラムのみで、小林修(東京大学)たちは、アキラル不均一系触媒またはキラル不均一系触媒を充填した計4本のカラムに市販の出発物質を連続的に通すことによって、GABA誘導体の抗炎症薬である(R)-ロリプラム、(S)-ロリプラム、(R)-フェニバットを合成した。今回の多段階連続フロー合成は、実験室規模で行われ、グラム規模の医薬品が得られた。現在、医薬品合成の規模をキログラムレベルにスケールアップすべく研究が行われている。

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