Nature ハイライト
がん:低酸素が腫瘍細胞に有利に働く
Nature 520, 7547
腫瘍細胞は低酸素環境で活発に増殖するが、今回、D Sabatiniたちは、神経膠芽腫細胞の虚血領域で働く腫瘍細胞が、生存優位性を獲得する機構を明らかにした。神経膠芽腫細胞は、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(SHMT2)とグリシンデカルボキシラーゼ(GLDC)を過剰発現していることが分かった。SHMT2は、乏血性環境で酸素消費量を減少させることで、腫瘍細胞に生存優位性を獲得させるが、同時に、腫瘍細胞を選択的な脆弱性にさらす。SHMT2活性の産物であるグリシンは、細胞内に蓄積すると毒性を発揮するので、GLDCを阻害することで発がん性神経膠芽腫細胞を標的できるかもしれない。
2015年4月16日号の Nature ハイライト
構造生物学:アディポネクチン受容体の構造
構造生物学:ヒトP2Y1受容体の構造
電気化学:より優れたアルミニウムイオン電池
有機化学:フロー法を用いた精密化学品の合成
地球化学:水星をちょっと加えるだけ
生態学:魚を乱獲されたサンゴ礁の回復
人間行動学:情緒的な出来事により弱かった記憶が強められる
神経科学:喉の渇きを制御する神経回路
がんゲノミクス:腫瘍の転移に固有の複雑性
乳がん:血管をまねることで転移を促す
がん:低酸素が腫瘍細胞に有利に働く