Nature ハイライト
乳がん:血管をまねることで転移を促す
Nature 520, 7547
E Wagenblastたちは、特定のクローンの挙動の促進因子を確認するために遺伝学的に変化させることのできる腫瘍内不均一性のモデルマウスを用いて、乳がん細胞株の異なるクローンが、転移形成に対して、それぞれに異なる能力を持つことを示している。Serpine2とSlpiタンパク質の発現は肺転移と関連があり、ヒトのデータセットでも同様の関連性が見られた。Serpine2とSlpiは抗凝固因子として働くとともに、腫瘍細胞を血管に擬態させることができ、その結果、腫瘍細胞自体が血管の一部を形成して血管の漏出性を高めることで、腫瘍細胞を血管内に入りやすくしている。
2015年4月16日号の Nature ハイライト
構造生物学:アディポネクチン受容体の構造
構造生物学:ヒトP2Y1受容体の構造
電気化学:より優れたアルミニウムイオン電池
有機化学:フロー法を用いた精密化学品の合成
地球化学:水星をちょっと加えるだけ
生態学:魚を乱獲されたサンゴ礁の回復
人間行動学:情緒的な出来事により弱かった記憶が強められる
神経科学:喉の渇きを制御する神経回路
がんゲノミクス:腫瘍の転移に固有の複雑性
乳がん:血管をまねることで転移を促す
がん:低酸素が腫瘍細胞に有利に働く