Nature ハイライト
構造生物学:多機能性TRPA1受容体の構造
Nature 520, 7548
TRP(transient receptor potential)チャネルは全ての真核生物で発現しており、広範な物理的・化学的刺激のセンサーとして機能する。今回、ワサビなどの侵害化学物質の感知受容体であるヒトTRPA1について、完全長タンパク質の高分解能低温電子顕微鏡構造が報告された。この膜タンパク質の全体的な構造は以前発表されたTRPV1のものとは著しく異なり、多くのアンキリンリピートドメイン、イノシトールヘキサキスリン酸の結合部位として作用すると思われるチャネル中心の四量体コイルドコイル、および2つの小孔ヘリックスからなる外側小孔ドメインを持つ。TRPA1は持続性疼痛、呼吸器症候群、慢性そう痒症候群に関連するため、TRPA1アンタゴニストは鎮痛薬候補として興味深い。
2015年4月23日号の Nature ハイライト
社会行動学:オキシトシンと母性行動
分子生物学:CRISPRによる外来DNAの認識
構造生物学:多機能性TRPA1受容体の構造
天文学:大質量星形成の観測
オプトメカニクス:フォノンを1つずつ数える
地球化学:地球と月への後期集積
生態学:希少種が病害を受けるリスクが低い理由
植物科学:遺伝子操作で乾燥耐性を向上
免疫学:ミトコンドリアは自然免疫を始動させる
構造生物学:ヒドロゲナーゼ中の水素原子を可視化