Nature ハイライト
生態学:希少種が病害を受けるリスクが低い理由
Nature 520, 7548
生物群集内で希少な種が持つ優位性の1つは病気になりにくいことであり、病原体による病害圧力はその宿主種の個体数が増すほど高まる。今回I Parkerたちは、米国カリフォルニア州の草原環境で行った実験で、植物群落全体の構造も病気のなりやすさに影響することを示した。植物は進化的に近縁な種が周囲に存在すると病気になりやすいことが明らかになり、このことは、多くの病原体が複数の種に感染でき、病原体が宿主から宿主へと移る場合に近縁な種を選ぶ傾向があるという事実を反映している。著者たちが、自然群落内のさまざまな植物種の病気発生を予測するためのモデルを開発して適用したところ、新たに導入された植物種に対する病害圧力の程度を的確に予測することができた。さらに、系統発生学的に離れた種の「病気をもらいにくい」という優位性が、外来種の侵入性に寄与している可能性も示された。
2015年4月23日号の Nature ハイライト
社会行動学:オキシトシンと母性行動
分子生物学:CRISPRによる外来DNAの認識
構造生物学:多機能性TRPA1受容体の構造
天文学:大質量星形成の観測
オプトメカニクス:フォノンを1つずつ数える
地球化学:地球と月への後期集積
生態学:希少種が病害を受けるリスクが低い理由
植物科学:遺伝子操作で乾燥耐性を向上
免疫学:ミトコンドリアは自然免疫を始動させる
構造生物学:ヒドロゲナーゼ中の水素原子を可視化