Nature ハイライト
Cover Story:グッド・タイムズ、バッド・タイムズ:肯定的または否定的な連合は脳内でどのように配線されているのか
Nature 520, 7549
扁桃体は情動的な処理に重要な脳部位であり、肯定的あるいは否定的な連合をもたらす刺激の扱い、つまり善玉刺激と悪玉刺激とを判別している。しかし、扁桃体ニューロンがこのような特徴を識別、すなわち分類する仕組みについてはほとんど分かっていない。今回K Tyeたちは、扁桃体基底外側複合体(BLA)が、肯定的あるいは否定的な情動反応や動機付け反応を仲介する回路の分岐点であることを突き止めた。マウスでの研究で、恐怖回路または報酬回路へ投射するBLA内ニューロンは、恐怖条件付けあるいは報酬条件付けを行った場合に逆のシナプス強度変化を起こすことが分かった。各ニューロン群を選択的に活動させると、否定的あるいは肯定的な強化のどちらかが起こった。トランスクリプトーム解析によって、このような機能の違いを仲介すると思われる遺伝子候補が明らかにされている。
2015年4月30日号の Nature ハイライト
神経科学:ショウジョウバエ幼虫の多感覚回路
構造生物学:ヒトリボソームの詳細な構造
宇宙物理学:銀河系の中心部の活動
材料科学:ウエハースケールの半導体薄膜
古気候学:気候のシーソーは北から南へ揺れ動く
生物地球化学:窒素固定は早くから出現
植物科学:植物ウイルスに対する新しい防御機構
微生物学:アルテミシニン耐性の発生機序
がん:TP53を間接的な標的にする
免疫学:TLR9によるDNA認識