Nature ハイライト
古気候学:気候のシーソーは北から南へ揺れ動く
Nature 520, 7549
バイポーラーシーソー理論では、急激な気候変動事例の一部は、半球間の熱の再分配、つまり一方の極域が温暖化し、もう一方の極域が寒冷化した結果であると考えられている。しかしこれまで、北半球が南半球に強制力を及ぼしているのか、それともその逆であるのか、またバイポーラーシーソーが動くのは海洋が関わる機構によってなのか、それとも大気が関わる機構によってなのかはよく分かっていなかった。複数の気候研究所のデータを統合した今回の研究では、最近掘削された西南極氷床分水嶺氷床コアの高分解能データを、グリーンランドのデータと組み合わせて用い、過去6万5000年間の大半の寒冷化事象と温暖化事象はいずれも、南半球に先行して北半球で先に起こっていたことが示された。また、北半球で急激に起こった気候変動に南極大陸が応答するのは2世紀後だったことも明らかになった。これは、気候シグナルが海洋によって南半球高緯度域へと伝播したことを示唆している。
2015年4月30日号の Nature ハイライト
神経科学:ショウジョウバエ幼虫の多感覚回路
構造生物学:ヒトリボソームの詳細な構造
宇宙物理学:銀河系の中心部の活動
材料科学:ウエハースケールの半導体薄膜
古気候学:気候のシーソーは北から南へ揺れ動く
生物地球化学:窒素固定は早くから出現
植物科学:植物ウイルスに対する新しい防御機構
微生物学:アルテミシニン耐性の発生機序
がん:TP53を間接的な標的にする
免疫学:TLR9によるDNA認識