Nature ハイライト
神経科学:ショウジョウバエ幼虫の多感覚回路
Nature 520, 7549
動物が判断を下すときには、さまざまな感覚刺激を統合しなくてはならないが、こうした多モードの感覚情報の統合が、情報処理の早い段階で行われるのか遅い段階で行われるのかは、あまりよく分かっていない。今回M Zlaticたちは、自由行動中の動物で神経操作を用い、生理学実験と電子顕微鏡法による再構成とを組み合わせ、数千ニューロンのうち、ショウジョウバエ幼虫が機械刺激または侵害刺激から逃れるために必要な138個全てについて追跡した。彼らは、全ての機能的結合を、単一シナプス精度でマッピングした。得られたコネクトームから、複雑な多レベルの収束構造が明らかになり、2つのシグナル伝達経路は、感覚ニューロン、介在ニューロン、そして運動ニューロンまでの各階層で収束し作用し合っていて、系の感度とその入出力機能の幅を上げていることが分かった。遺伝学的に操作しやすいモデル系でこの多感覚回路を利用できれば、脳と神経索の複数の経路間の相互作用について研究するための情報資源になる。
2015年4月30日号の Nature ハイライト
神経科学:ショウジョウバエ幼虫の多感覚回路
構造生物学:ヒトリボソームの詳細な構造
宇宙物理学:銀河系の中心部の活動
材料科学:ウエハースケールの半導体薄膜
古気候学:気候のシーソーは北から南へ揺れ動く
生物地球化学:窒素固定は早くから出現
植物科学:植物ウイルスに対する新しい防御機構
微生物学:アルテミシニン耐性の発生機序
がん:TP53を間接的な標的にする
免疫学:TLR9によるDNA認識