Nature ハイライト
Cover Story:技術の夜明け:トゥルカナ湖西岸から出土した石器はこれまでに発見された中で最古の330万年前のもの
Nature 521, 7552
表紙に示したのは、ケニアのトゥルカナ湖西岸にあるロメクウィ3遺跡から出土した石器である。L Leakeyたちがタンザニアのオルドバイ峡谷で初期人類化石(現在は180万年前のものと認められている)と共に石器を発見したのは50年以上前で、当時は道具の作製はヒト属(Homo)に固有の能力とされていた。だがそれ以後、道具作製の開始年代は大きくさかのぼり続け、道具の作製はヒト属だけに関連付けられるものではないと考えられるようになってきている。ここしばらくの間、縁の鋭い石器として最古のものとされてきたのは、エチオピアで出土した約260万年前のものであった。そして、以前にエチオピアで発見された約330万年前の動物の骨に見られる切痕は、議論の余地はあるにしても、ヒト属以外のヒト族(Hominini)での石器使用と関連付けられている。道具使用の考古学的記録の始まりがこのようにもっと古いことは、S Harmandたちが今回報告しているロメクウィ3遺跡での石器の発見により裏付けられた。この石器は330万年前のもので、現時点で最古とされている、数週間前に報告されたヒト属化石(280万年前)よりもほぼ50万年古い。新発見の石器は、オルドバイなどで発見された「オルドワン」石器とは異なっており、ヒト属以前の石器文化に属する可能性があり、研究チームはこれを「ロメクウィアン(Lomekwian)」と呼ぶことを提案している。
2015年5月21日号の Nature ハイライト
幹細胞:新たな幹細胞状態
神経科学:ドーパミン輸送体の構造
天文学:3つのIa型超新星は白色矮星同士の合体によるものか?
量子力学:エンタングルした重ね合わせ状態の生成
材料科学:非ジュール磁気ひずみが観測された
進化遺伝学:転写のノイズが自然選択の対象になる
幹細胞:iPS細胞の潜在能力の有無を示す細胞マーカー
がん:過剰なBCRシグナル伝達の抗がん作用
エボラウイルス:現在のエボラ流行株に対する治療
分子生物学:昆虫および脊椎動物での段階的スプライシング